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トピックス

加齢なる?エンジンブロー DUCATI編 (その4)

DUCATI 750GT

破壊された部分の断面を綺麗に整形してゆきます。なるべくRが大きく、均一になるように削り込みました。

ドカティ 750GT

同じ厚みで断面やRを整えた部品を作ってゆきます。

ドカティ 750GT

慎重に位置合わせをして溶接します。溶接によってケースに歪が出ないような段取りを考えながら作業します。
溶接で起こる歪はものすごい力なので、箱状のクランクケースなどは簡単に変形してしまいます。あちらこちらとバーナーで炙りながらの勘の作業です。

・・・もうかなり昔の話ですが、油冷のレース用のシリンダーヘッドを5、6台ぐらいまとめてドリリングにて軽量化した事がありました。
レース用なので余分な肉を削ぎ落とすべく電ドルにロングドリルの刃をセットして、ヘッドの外側、内側(冷却効果も狙い燃焼室の裏側など)をサクサクとドリリングしたのですが、その後ポート研磨をしている際に小さいアルミの巣のようなものが削る程にドンドン大きくなってゆき・・・

ハッと気付いた時に血の気が引いたのを覚えています。巣だと思っていたのはヘッドの裏側の軽量したドリルの穴の先端でした。数台まとめて加工してしまっていたのでかなりの事件でした。
まずはきっちりとポーティングをして貫通するところは貫通させてしまい、アルゴン溶接で軽量した部分を埋め戻して再度ポートを修正して仕上げたのですが、溶接によるヘッド全体の変形が予想以上に大きく、カムシャフトを乗せるとクリアランスが無くなっていて堅くて回らなくなっていました。
当然、燃焼室側の面も歪んでいたのでしょうが、こちらは研磨して多少は誤魔化せますが、カムシャフトホルダーはそういうわけには行きません。鉄ノコの刃を整形した工具で手加工でアルミを少しずつ削り取り、何日もヘッドを抱えてカムシャフトが軽く回るまでカムホルダー部を削っていったのですが、洗浄して組み立ての工程で、カムシャフトと平行に取り付けるロッカーアームシャフトが途中で入らない事が判明して万事休す。悪あがきの終焉を迎えました。

冷静さを失ってジタバタしながら泥沼にはまってゆく典型のような失態ですが、今となっては貴重な経験の一つになっています・・・

ドカティ 750GT

不幸中の幸いでケース内の壊れた部分は構造上、直接力を受け止める部分ではなく、ケース内部の空間を仕切る為の壁のような部分だったので、合わせ面以外はシビアな寸法合わせは必要ありませんでした。

ドカティ750GT

時間がかかって大変なのはこの面出しです。溶接時にぴったりの面を出すのは無理なので、多少プラスになるように材料を作り、溶接後に落ち着いてから周りと同一平面になるまで研磨してゆきます。最初はガリガリと鑢で荒削り、仕上げはストレートエッジで確認しながらオイルストンで面を作りました。合わせ面同士の平面が光明丹で綺麗に確認できるようになるまで忍耐のいる作業です。

SCRAMBLER DUCATI

スクランブラ― アイコン

ドカティ スクランブラ― アイコンを納車させて頂きました。

スクランブラ― アイコン

軽い車体と低回転からトルクフルなエンジンの組み合わせで、ドカティらしい元気の良いコミューターに仕上がっています。
ビギナーの初ドカティにも、ベテランライダーのセカンドバイクとしても活躍しそうな感じです。

スクランブラ― アイコン

タンクからシートにかけてもスリムな車体はオフロード車並みです。しかも非常にコンパクトなABSユニット(中央の丸い物)があまりギチギチにならずに収まっているのを見ると、補機類などのレイアウトがホンダ車並み?に洗練されているのを感じます。この大きさのラゲッジスペースも良い意味で想像を裏切られました。ボルトオンのサイドバッグなど純正アクセサリー類も充実しているので、現代ドカティの新たなカテゴリーとして今後が楽しみなバイクです。

ラウンドケースのレギュレーター

べベル レギュレーター

よく壊れると言われるドカティのべベル系ラウンドケースのレギュレーターレクチファイアーです。
壊れるのは単に古いからなのか構造的なものかは良く解りませんが、自分のバイクも以前ツーリング先で壊れて立ち往生しました。その時はカーショップで適当なバッテリーを買って取り付け、帰路の高速道路を同行のバイクに前後サンドイッチしてもらいながら無灯火で帰った思い出があります。場所は山梨だか長野だかは忘れましたが、無事に帰りつけるかどうかのなかなかスリリングなツーリングになりました。(昔の事なので時効ですかね)

今回のトラブルはそれほど極端ではなく、充電能力が無くはないが相当に落ちてしまっている状態でした。
そこで今一度構造的なものを調べていたらウェブ上でいくつかの情報を得る事が出来、こちらのホームページでは回路図が載っていました。

べベル GT750 レギュレーター
Ref. Malcolm’s Regulator Notes

これがその回路図です。自分が見たわけではないので概略図か精細図かわかりませんが、エポキシで固められた基盤を壊して調べたという事です。

べベル レギュレーター

カバーを外したところですが、中の赤いケースの中に基盤がエポキシで固められているので、分解は相当根気よくやらならいと難しいでしょう。
自分の時は、そのまま捨ててしまいました。

今回は先の通り、ウエブ上で回路図が見つかったので現物を前にして眺めてみましたが、レクチファイア(整流器)の機能はあるはずなのに普通は数個あるはずのダイオードが見当たりません。
この回路を書いた人の説明では、発振回路とサイリスタ―の組み合わせで整流するタイプのレクチファイアだという事で、半導体が高価だった昔はよくあったスタイルらしいのですが、、、

spann1
ref. moto morini club nederland
spann2
ref. moto morini club nederland

上の写真はモトモリーニクラブのホームページに載っているものですが、ラウンドケースのレギュレーターとよく似ています。
また、このタイプは基板を樹脂で固めていないらしく、中の構造がそのまま見えてしまうようです。

latereregelaar
ref. moto morini club nederland

こちらは手書きの回路図が載っていました。しかも素子の特性などや発振の周波数まで書き込まれていてより実体に迫る感じです。
ただ、ラウンドケース用と違ってダイオードが2個実装されているのと、コイルが3本線ではなく2本線から成っている、などの違いも見られます。

roundcase

ホントに発振してるの?という好奇心から上記図面から発振器の部分を抜き出して回路シミュレーターのLTspice上で再現してみました。

roundcase

上記の構成でバッテリー電圧をかけて1秒間走らせてみたグラフからの抜粋です。赤がコレクタに掛かる電圧、他の二つはそれぞれのコイルを流れる電流です。
確かに発振しています。しかも想像よりも高い電圧でオドロキました。実際は全波整流された直流が流れているはずなので、発振状態も異なるでしょう。
回路中のコイル(トランス)はサイリスタのゲート付近のコイルとも繋がっていて、この波でサイリスタを制御するというシステムというのがなんとなくわかりました。
また、一定の電圧に達するとこの波も消えてしまう事でレギュレーターの機能の一部にもなっています。

ラウンドケース レギュレーター

半分壊れている?レギュレーターですが直流の12vの電圧をかけて実際はどんな波形なのかを見てみました。上記のテスト回路と同じ所では測れないので、適当な端子にスコープを繋いでみました。

ラウンドケース レギュレーター

測定した波形がこれです。半分壊れている?ので正常なのかどうなのかわからないですが、とりあえずは発振しているのが確認できました。周波数は手書き回路上のメモとほぼ同じですが、電圧は全然違いますね。

とにかく、現在のダイオードブリッジとツェナーで構成されたシンプルで確実性の高そうなシステムと比べると、この古いイタリア製は複雑で微妙なバランスで成り立っているような印象を受けました。実際、回路テスター上でもコンデンサの容量などがちょっと変わるだけで全く発振してくれなくなったりします。

オリジナルでのパーツ構成というのも捨てがたいものですが、やはり電気ものは新しいのが良いです。快適な走行あってのラウンドケースなので、効率や信頼性重視という事で国産の適当なものへの代替が無難なのでしょう。

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