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トピックス

フォルセライタリア (その2)

セリアーニ

フォークトップには、このようなダンパー調整ダイアルがついています。
ダイアルの回りには数字が刻印されていて、その位置にクリック感
とともにダイアルが止まるようになっています。
ここまではフォークキャップの独立した構造によるものです。

フォルセラ

フォルセラ

こちらはボトムケース側のダンパー本体です。
フォークキャップから伸びた四角いロッドがダンパーに刺さります。

ダンパー

そして、ダンパー本体は固定された外側の穴と、ロッドで回転され
るインナーピースに空いている大きさの違う6個の穴とが合わさって
オイル流路に変化を与えてダンパー調整が出来る構造になっています。

ダンパー

ところが・・・・
厄介なことに、フォークの取り付け方によってはこのように、
中途半端な位置で止まってしまうようになります。
こうなると、どのダイアル位置でも穴が合いません。
何故このような事が起こるかというと、
ダイアルの位置が決められているインナーチューブと、
ダンパーの位置が決められているボトムケースは
お互いに自由に回転するので取り付け時の制約が無いからです。

ダンパーロッド

セリアーニ

そこで、組み立て時に穴位置の基準を知る為のストッパーがあるの
ですが、扱いに気を付けないと華奢な構造の為に破損してしまいます。
このフォークはインナーピースのストッパーが変形し、
ボトムケース側のストッパーが脱落していました。
こうなると、分解しない限り、穴位置を知る術は全くありません。

セリアーニ

今回のオーバーホールではストッパーを復元しました。
そして、ストッパーで合わせた位置関係を維持したまま
車体に取り付け、正常なダンパー調整が可能になりました。

フォルセライタリア

HB3

フォルセライタリア(forcelle italia)製フォークの修理依頼です。
昔?は高性能なフロントフォークで、マルゾッキなど共に、
イタリア車の大型ロードモデル用として使われていました。
このメーカーは時々セリアーニ(ceriani)というフォークメーカー名
が併記されている事があります。
セリアーニ(チェリアーニ)と言えばテレスコピックフォークの
代名詞として有名です。事実昔はテレスコピックフォークを
「セリアーニタイプ」と呼ぶ事が多々ありました。
数々のレースシーンなどでも活躍した高性能サスペンションとして、
また、バイクの懸架装置の変遷などには必ず登場し、ショーワやカヤバ、
オーリンズなどよりもその名を歴史に深く刻みこんでいるメーカーです。

HB3

フォルセライタリアはその流れを汲んでいるメーカーで、
やはり高性能、高品質がウリだったので、現在でも人気があります。
見た目もカッコイイ上にスペシャル感もあり、性能も良いとあれば
装着したくなる人も多いのでしょう。
ものの本によれば、セリアーニという会社は、当時、MV Agustaの社
員だったArturo Cerianiが1964年ににサスペンション回りのパーツ
メーカーとして独立し、その後息子のEnrico Ceriani(こちらの方
が馴染みがありますね)が引き継ぎ、世界的なサスペンションメー
カーとなっていったようですが、1978年にはその歴史を閉じてしまいます。
その3年後の1981年、フォルセライタリアがEnricoを迎え入れ、
彼のデザインでのフォーク作りを続けました。
しかし、フォルセラというメーカーも90年代半ばに倒産し、
同じイタリアのパーツメーカーのパイオリ(pioli)という会社が
それを買収。現在はセリアーニというブランド名を使って製品を一
部作っているそうです。

とまあ、このへんのゴタゴタはさておき、高性能フォークとしての
フォルセラは、今の感覚で見ると少々デリケートで、キチンと性能
を出すにはそれなりの扱いが必要となります。

フォルセラ セリアーニ

つづく