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ZX-12Rの耐久性

ZX-12R

かつてのカワサキのフラッグシップZX-12R。過激なモンスターという印象ですが、性能だけでなく耐久性も高いバイクです。
このガンメタの初期型は、15年前に新車で販売してから昨年で走行距離が14万キロを超えました。
(初期型の特徴でもあるおちょぼ口のエアインテークはカッコ悪いという事で、早くにカットしてしまいました)
オーナーの走り方としては穏やかな方では無いですが、全体のトラブルの少なさはそれまでのモデルであるZZR1100系に比べて相当に向上しているという印象を受けます。
今回、車検で入院となったのですが、さすがに少々エンジンからのノイズが気になるようになってきたので、過去にたった一度!しか調整していなかったタペット調整をする事になりました。

ZX-12R

前回の調整から間が空いてしまった訳は・・・ここ7~8年ぐらいは音の変化も少なく常に快調、そして年に何回もオイル交換や毎度の車検で現車に触れているのでオーナー同様慣れでマヒしていたようです。それでついつい間隔が空いてしまったという感じです。

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エンジンの中はとても綺麗でした。走行距離は多いですが、オイル交換をオイルがあまり汚れないうちに定期的にやり続けてきたという事が大きな要因でしょう。

自分の経験からですが、Gpz900Rや派生エンジンを積んだZZR1100、1200などはカムシャフトやロッカーアーム、バルブなどのいわゆる動弁系の耐久性が高いとは言えないという印象をもっています。これまでに何十個のカムシャフトやロッカーアームを交換してきたかわかりません。
加工精度の問題なのか、糸のように細いバルブシートに組み合わされたバルブはフェース面の摩耗、磨滅も多く、これらによって少なくなったタペットクリアランスを広げて基準に合わせると、今度はバルブの傘がオチョコになってしまうなんていう場合もあり、走行5万キロぐらいで腰上のオーバーホールをした時点で結構な部品交換が必要な場合が多いのです。しかし今回、約10万キロぶりに測定した12Rのタペットクリアランスは、若干の規定外が3か所しかありませんでした。
規定ギリギリを含めてたった4か所のシム調整だけだったのがちょっと驚異的です。これではおそらくバルブフェースの減りもかなり少ないだろうと思います。

上の写真でも良く解りますが、バルブタペットの一個一個にオイルのプールが設けてあり、この時点でもオイルがたっぷり溜まっています。ニンジャ系のロッカーアームタイプに比べると潤滑については機構的に有利な上にさらにカム山やタペットの潤滑に気を使って設計されている感じですね。

ZX-12R
ZX-12R

この通り、カム山もジャーナルもホルダーも摩擦が起きるところ全てが綺麗です。これまでは10万キロノントラブルで耐久性が高いという評価が一般的でしたが、この車両はこのまま20万キロでも問題なさそうな感じがします。

ZX-12R
ZX-12R

しかし今回はカムチェーンやテンショナー類は交換することにしました。このカムチェーンなども使えない事は無いですが、伸びたチェーンは騒音の元になる事や、クランクやカムシャフトのスプロケットの歯を傷める事にもなるからです。タペットクリアランスが正常なのにノイズが多い場合はカムチェーン回りからの音が原因の場合が多く、あまりに伸びたカムチェーンはカムスプロケット上でアソビが出てしまうので、その場合はいくら強力にテンショナーを張っても異音は消えません。今回の場合はオートカムチェーンテンショナーがちょっと役目をさぼっていた事もあり、一通りの作業後のエンジン回りの音は見違えるほど静かになりました。