バイクも長年乗り込むといろいろなところが消耗してきますが、地味に困るのがサイドスタンド可動部の摩耗です。
スタンド側が減ったり、ブラケット側が減ったり、スプリングやフックが減ったりと、相当な荷重がかかる場所ながら単純な構造なのでついつい消耗が見逃されている事が多いです。消耗が進むにつれ、スタンドをかけた状態で車体が寝てくるので、ますます多くの荷重を受けるという悪循環になります。
スタンドを外してみると、車体側のブラケットも摩耗が進んでいました。スタンド側の摩耗と合わせると、かなりのガタが出ている状態でした。
こんな状態ではスタンドを新品に交換しても思ったほどガタが改善しないものですが、この車両はメーカーから補修用のスタンドキットが供給されています。BMWとしては設計の弱点の見直しかもしれませんが、気に入ったバイクを長く乗りたいユーザーにとってはうれしい対応です。
このセットは「ボルトオン」ではなく「ウエルドオン」となっていて、減ってしまった車体のブラケットへ金属のブッシュを溶接して部分的に作り替えて使います。
組み合わせる専用のサイドスタンドも根本の剛性が高そうです。
日本で「ボルトオン」と言えば、部品を取り付けるにあたって「何の追加工も特殊工具も必要とせず(必要なら同梱されていたり)誰でも簡単に取り付けられる部品」という暗黙の了解がありますが、海外製のボルトオンは「取り付け方法がボルトで」という程度の意味しかなく、金属を削ったり曲げたり叩いたりの追加工が必要になるかも・・・という暗黙の了解があります。
ウエルドオンのような荒療治は日本のバイク文化的にNGかもしれませんが、「機械は壊れて直すのがあたりまえ」だった大昔からのバイク文化圏では普通の事なのかもしれません。
溶接の方法なども事細かに説明されていません。メーカーの研修もあるのかもしれないですが、個々の車体で消耗の仕方もまちまちなので、現物合わせで位置や角度を調整しながら溶接します。
WELDED-ONの状態です。錆止めの塗料を塗りました。
サイドスタンド使用時の角度を確認しながら位置決めしたので、国産車のような安定?した使用感です。今ではあまり見られなくなったグリスニップルがせっかく付いているので、これを生かせるような小細工もしておきました。