オーナーの要望で、ツラーテック(touratech)製アルミケースの
取り付けとモディファイをしました。
まず仮装着し、干渉するリアウインカーの幅詰めをします。
今回のモディファイのメインは左側ケースのスクエア化です。
STDのR1150GSのマフラーはアップタイプなので、
ケースとフレームにはそのための逃げが設けてありますが、
このオーナーのGSは取り回しの違うヨシムラマフラーなので
逃げの必要がありません。
内側から見るとこのように邪魔な出っ張りを無くして欲しい
というご要望でした。
そこでバッサリと・・・・
代わりにアルミの板を板金し・・・・
溶接。
次にフレームの一部を切り取って、ストレートな部材を作って置き換えます。
そしてまた溶接。
最後にフレームにケースを固定するためのアダプターを作成します。
ジュラコンの丸棒を切断し・・・・
他の二つのアダプターと同じになるように整形します。
こんな感じで完成しました。
万全の状態で納車、即ツーリング、という流れでした。が、
なんとすぐにフォークからのオイル漏れが始まってしまったとの連絡が入ったのです。
フォークシールはもちろん新品。試乗時確認した際も、
組み立て後のオイルが少量インナーチューブに残る程度でした。
しかし状況はかなり酷いらしく、多量のオイルが出てしまっていて、
しかも左右とも同じぐらいの状態との事でした。
これが片側だけならシールの取り付け不良かシール自体の不良が
考えられもしますが、左右共にとなると、なんとなくフォークの加工を
疑りたくなってしまいます。
いや、加工の精度云々ではなく、綺麗過ぎる面とオイルシールとの相性です。
あまりに滑らか過ぎる面はオイルシールに適していない事を専門書で
読んだ記憶があるからでした。
いずれにしても、今回の加工が関係していると思いたくなってしまいます。
車両が戻ってきて、早速原因を探って見ることにしました。
フォークシールを抜く際になるべく状態を変えたくないので、
プレスで油圧をかけて外しました。
外したシールをよく観察すると、リップ部が僅かに凹んでいるように
見えました。確認するために切断してみた写真がこれです。
本来は90度にL字型の金属環が曲がってしまっています。
オイル漏れの原因はこのシールの変形でした。
さて、ではこの変形の原因は何でしょうか?
原因のひとつはシールの金属環が非常に柔らかい事でした。
写真のように手で握ると簡単に潰れてしまいます。
比較の為、国産のオイルシールでも試して見ましたが、
こちらは力いっぱい握ってもビクともしませんでした。
ただ、マルゾッキは古いドカティでも使ってますが、
こちらでは同じような不具合は経験していません。
そしてもうひとつの原因は、フォークのハウジングの腐食です。
これはどんなバイクも古くなると起こり得る事ですが、
フォークのダストシールとオイルシールの間に水が浸入してしまって、
溜まった水がこの部分を腐食させてしまうというものです。
つまり、フォークシールを打ち込む際にハウジングの腐食した
ザラザラした面とそうでない面とで抵抗が違うので、
打ち込みの力が不均一にかかってしまい、その結果
金属環の内側が一部凹んでしまったという事なんだと思います。
しかし・・・フォークの腐食は決して珍しい事ではないのですが・・・・。
さて、原因がわかったところで、どう対処するかです。
同じ事を慎重にやり直してみたところで決定打とは思えないので、
今回は社外のシールを使う事にしました。
もちろん使う前に力いっぱい握りつぶしてみましたが、
こちらはビクともしませんでした(笑)。これなら安心です。
厚みが微妙に違うので、少々加工を加えて使用。一件落着です。
車両はBMWのK1100RSというモデルです。
かれこれ15年ぐらい前のバイクですね。
さすがのBMWでもこれだけ古くなればあちこち痛みも出てきて当然です。
フロントフォークのインナーチューブも相当に錆が・・・・
・・・という訳でインナーチューブの再メッキ&コーティングです。
正立のインナーチューブといえどもさすがに純正パーツの値段は高い!
なので、この場合はコーティング費用まで含めてもリーズナブルです。
部品が生き返ったのでエコでもありますかね?(笑)
コーティングの終わったインナーチューブの表面はツルツルです。
レーサーのスペシャルといかないまでも素材の引き目は
かなり埋まってしまっているという印象です。
フォーク自体のオーバーホールと同時に加工したので
これはフォークの作動性も良くなる予感・・・・
ところが意外なトラブルが潜んでいました
続く