現車のタンク(古いストーツ製)に合うタンクキャップをストーツさんに相談して送ってもらった現行のストーツタンク用キャップ。
「たぶん合わないよ」という言葉通り、STDキャップ仕様の旧型タンクとはまったく合いませんでした。
しかし新たに探したり調べたりするよりも手元にあるものを改造した方が話が早いと判断。STDのカシメ構造のタンクキャップを無理矢理分解して・・・
両者を圧入して合体させました。
なんだかんだといろいろ手を入れて完成。ルックスも良いですが、試乗でGパンの膝を擦りそうになるぐらい攻めて楽しいスポーツになりました。
ワイドリムが手に入ったので、ブキャナン(スポークメーカー)よりスポークを取り寄せて組み立てました。17インチ&ワイドホイール化でハイグリップタイヤを履けるようにします。
アクスルを締めあげ、仮想装着状態を作ってダイヤルゲージにてクリアランスを測りながらホイールベアリングのシム調整をしています。10年ぐらい前までは、車のホイールベアリングと同じくテーパーローラーベアリングが使われていて、こんな面倒な組み立て寸法調整する必要がありました。
今は普通のベアリングになったのでこんな作業は必要ありません。
リアホイールはかなりワイドになるので、チェーンラインの変更が必要です。チェーンがタイヤと干渉しない寸法を設定します。
簡単な図面を引いてから旋盤にて単品制作します。
単品制作なので、ハブ、アダプター、スプロケットの現物同士が軽く抵抗を感じながら嵌める程度に作れました。
スプロケットのセンターがズレ難い仕様です。
ついでに、リムもチューブレス仕様に加工しました。
加工と言ってもスポークの穴をコーキングで埋めて、チューブレス仕様のバルブを付けるだけです。
ホイールサイズの変更やリヤサスの変更によって車体のディメンションが変わるので、どの程度の変化があるかのシミュレーションをしました。
スポーツスターはトレール量の変化に敏感なので、なるべくネガが出ない寸法を探っておきます。
今回の車体に丁度良いオフセット量のトリプルツリーをサンダンスさんが作っていたのでこれを利用する事にしました。
しばらく前にエンジンのオーバーホールをご依頼いただいた90年代後半のスポーツスターです。
この車両、かなり個性的なカスタムですが、モディファイはほぼオーナー自らの手によるものと聞いてびっくりしました。
アルミダイキャストの部品も鋳物やさんに吹いてもらって、削って、磨いて、光らせて・・・と、もはや手間のかけかたはプロ顔負けです。
カスタムという言葉の意味がいつの間にか純正オプションや専用パーツをアクセサリーとして取り付けるという意味になってしまっている昨今、完成度の高いパーツがお金で買える時代にこのような手作りっぽさが今では逆に新鮮に感じます。