シリンダーまで外したら、ピストンの側面も傷だらけです。
これはピストンとシリンダー間のオイルクリアランスに
オイルと混ざったメタルパウダーが入り込んだ為です。
クラッチ側のエンジンカバーを外したところです。
かなり「濃い」メタリックオイルが溜まっています。
これではピストンなどはひとたまりもありません。
オイルポンプを分解したところです。
こちらも内部が傷だらけになってしまっています。
このようにあらゆるオイルクリアランスの部分はダメージを
受けてしまっています。
特にこのエンジンは、オイルの汚れをろ過するためのオイルフィルター
が装備されていません。
つづく
オイルを抜き終わったところでエンジンをバラし始めます。
金属の粉が出た割にはオイルが「嫌な臭い」になっていません。
エンジントラブルではオイルが高温になりすぎて焦げたようなにおい
がすることが多いですが、今回は全く普通の「300vの香り」でした。
外したシリンダーヘッドです。
↑の部分は本来カーボンで色が付いていますが
なんらかの原因でピストンが当たってしまってアルミの地肌
が見えている状態です。
赤丸で囲った部分もエキゾーストバルブのカーボンが落ちて
白く見えます。
何れもピストンが正常な動きをしていない事がわかります。
クランクシャフト回りのトラブルの可能性が大です。
こちらはピストン側です。
ピストンヘッドも同じようにヘッドやバルブと接近している部分が
完全に接触してしまっています。
これはもう少し接近して見たものです。
矢印の先がバルブの逃げ加工された「バルブリセス」と呼ばれる
部分です。
本来の逃げの部分がバルブと干渉して深く凹んでいます。
このバルブリセス、写真手前がインテークバルブ側で奥がエキゾースト
バルブ側ですが、よく見るとエキゾーストバルブ側の打痕の方が
深く見えます。
先ほどのヘッドの写真を見るとわかりますが、
手前に見えるインテークバルブの直径がエキゾーストバルブよりも
二回りほど大きいので、本来ならインテーク側の方が強く当たる
はずですが、結果は逆になっています。
これはバルブオーバーラップのタイミングとエンジントラブルの
個所との絡みによるものです
つづく
レース中にエンジンが止まってしまったXRモタード。
見た目には何の故障も無さそうな佇まいですが、原因を探るべく
まずはエンジンオイルを抜き取ります。
すると・・・・。
まだまだ奇麗なエンジンオイルですが、よく見るとかなり濃い
メタリック調になっています。
これはエンジン内部に深刻なトラブルが発生している証拠ですね。
まあ、走行中に止まってしまう程なので、普通ではいられませんが。
つづく・・・・