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何卒ご了承ください。

トピックス

XR600R エンジンO/H

XR600R クランク

普通の(公道用の)バイクに比べるとクランクやミッション回りの
消耗が激しいので入念に点検します。
組み立て式のクランクシャフトなので芯出しが必要です。
もちろん、クランクケースのベアリングも新品に入れ替えます。
クランクベアリングのハウジングには鉄のスリーブが鋳込まれていますが、
スリーブとベアリングの圧入代が減っている場合があるので、
ポンチでカシメたりなどが必要な場合もあります。

XR600R ミッション

ギヤの一枚一枚が薄いのが特徴ですね。
レース用なので軽量コンパクトが優先された設計です。
そのかわりとしてギアの歯面に高い圧力が掛かるので、
繰り返し応力によって表面の硬化層が比較的痛み易いです。
進行性ピッチ(ピッチング)が起こりやすいと言えます。
どんなに良いオイルを使っていても力の伝達がある限りは
無くす事はできないですね。
このエンジンはオーバーホール時にギアを交換しない事が無いくらいです。

XR600R クランク

右方に大きなバランサーが見えます。
これのお陰でかなり振動が少ないですが、エンジンがリジッドマウント
な事もあって、存在感のある単気筒の鼓動があります。

XR600R クランク

若干肉厚のフライホイールです。
ここの重量でエンジンフィーリングがかなり変わります。
このエンジンはモディファイされていろいろなバイクに
使われていますが、
このXRのピックアップは絶妙ですね。

XR600R エンジン

このエンジンで超軽量なロードスポーツバイクを造ったら面白そうです。
ピックアップが良いのでハイサイドが怖そうですが(笑)

XR600R エンジンO/H

XR600R ヘッド

これはエキゾースト側のバルブガイドです。
熱的にはかなり厳しい状況にさらされています。
相当に高温になるとみえて、オイルスラッジがこびり付いています。
この温度なのでゴム製のバルブステムシールも痛みやすいです。
また、このバルブガイドはシリンダーヘッドとの間にオーリングが
入れられていて、オイルリークを防止する構造ですが、
オーバーホール時には殆どの場合、オーリングは四角いプラスチックと
化しています。
そうなると、オイルリーク防止の効果は無いも同然の状態ですね。
なので、当店では元通りにするだけで無く、追加のオイルリーク
対策をとっています。

XR600R ヘッド

こちらはインテーク側。
かなり温度に差があるようで変色なども殆どありません。

XR600R ヘッド

ポートのカーボン落としはオーバーホール時にしか出来ない
大切な作業です。
この時にポート内部の段付きなどを修正しておくとより効果的です。
積極的に手を入れる場合はポーティング加工ですね。

ポートの清掃作業後にバルブシートの修正を行います。
これはサービスマニュアルに出ているシート面の「荒れ」の
修正のほかにもう一つ大事な役割があります。
それはバルブシートの「熱歪」を修正する事です。
修正の効果としては、こちらの方が大きいぐらいです。
空冷エンジン、油冷エンジンの場合はこの修正に時間が掛かる
場合は多いです。

つづく・・・

XR600R エンジンO/H

XR600R ヘッド

バルブ回りの分解をしてみると・・・

XR600R バルブ

インテーク側のバルブですが結構汚れています。

バルブ

一本はこんな感じで、

バルブ

もう一本はこんな感じ。
かなり汚れが厚く積もっている感じですね。
汚れの本体はガソリンの未燃成分や圧縮工程、爆発工程時に漏れて来た
吹き返しのスラッジなどです。

XR600R ヘッド

ヘッド側の写真です。
排気ガスが通るエキゾースト側(上側)の方が綺麗です。
下側のインテークポートはバルブ同様に汚れが目立ちます。

ヘッド

拡大してみるとこんな感じです。
エキゾースト側はガスの流れの模様が付いているのが見えますね。
ポートの中がザラザラして見えるのは鋳物の肌です。
カーボンなどの蓄積は殆ど無い状態です。
燃焼室にもカーボンが蓄積していますが、これは標準的な
汚れ具合と言えると思います。
何しろインテークポートの汚れが酷いです。
ここまで汚れる原因の一つにはバルブとシートの密着度の低下が
上げられます。

つづく・・・

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