ノーマルエンジンでも酷使すると痛むもんですね。
硬いステムヘッドは数度の耐久レースに耐えていましたが、
前回のレースで急激に寿命が来てしまいました。
こちらはまだ正常なエキゾースト側のバルブです。
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ノーマルエンジンでも酷使すると痛むもんですね。
硬いステムヘッドは数度の耐久レースに耐えていましたが、
前回のレースで急激に寿命が来てしまいました。
こちらはまだ正常なエキゾースト側のバルブです。
全てのパーツをきれいに洗浄して組み立て準備です。
一つ一つのパーツは組み立て前に個々の動作などをよくチェックします。
きれいに洗浄しないとわからない不具合などが時々あります。
今回のベアリングの焼き付きの原因を、組み立て工程からも探ります。
組み立て時のベアリングの圧入代が多少大きいような気がしました。
この寸法はサービスマニュアルには載っていません。
1/1000mm単位の変化なので、組み立て現場では正確に測れません。
圧入前後のベアリングの動きを指で回して慎重に比べてみます。
もしも動きが重くなったら圧入代が多すぎで焼き付きに繋がります。
狭いクリアランスでのクランクシャフトのズレがベアリングに負荷を掛けたとの仮定で
ケース合わせの時も慎重にクランクシャフトが直線になるようにたたき合わせします。
ベアリングのスラスト方向でもキチンとセンターが出るように組み立てます。
正常に組み立てが終われば、あとは慣らし運転でアタリを出す事になります。
このベアリングが異音と振動の原因です。
大きなベアリングなので原型は留めていますが焼き付きを起こしています。
通常通り、ベアリングセパレーターという工具で抜こうとしますが、
ビクともしません。
人力では無理そうなので、この後プレスで5トン程の力を加えましたが
やはりビクともしません。
これは普通の圧入状態では無いと判断し、抜く事をやめました。
無理やり抜くと、クランクシャフトを傷めてしまう事があるからです。
ベアリングの分解に入ります。ボールの保持器を壊して外します。
インナーレースだけにします。ここまではあまり苦労しません。
どうやって抜くか、最後の手段(笑)でレースを切ります。
超硬のドリルでシャフトぎりぎりに穴をあけて、
さらにギリギリまで研石で削ります。
このぐらいかな?というところで叩いてクラックを発生させて抜き取ります。
これまた言葉にすると簡単そうですが、ここまでで相当な時間がかかります。
しかし案の定、レースとシャフトが膠着していました(帯状の白っぽいスジがそれです)
高い圧力と熱とでお互いの金属組織を共有してしまっている状態なので、
正常な金属同士の境界が崩れてしまっています。
このまま引っ張ると、かなりの傷が付くところでした。
シャフト側の膠着部はオイルストーンにて丁寧に修正します。
クランク自体の点検もします。3/100ミリぐらいの振れがあったので修正しておきます。
つづく