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トピックス

KTM625のフルメンテナンス

KTM625SXCのレストア的なフルメンテをさせていただきました。

伝統のLC4エンジンは耐久性が高いと言われていますが・・・。

ピックアップの磁石まわりについた鉄粉や、

ドレンボルトの磁石についた鉄粉などは国産のエンジンではあまり見なくなりました。それでも2サイクル時代に比べれば信頼性は向上していると思います。

エンジンオイルの交換などのメンテナンスはしっかりとされていたエンジンなので内部は綺麗です。

燃調のずれやオイル下がりなどもなかったのでしょう。わりと綺麗なインテークバルブです。

バルブのフェース面には段付き摩耗がありますね。修正して使う段階は通り越しているので新品に交換します。

しばらく乗っていなかったという事で、エキゾーストバルブ周りには錆などもあります。

ローラーロッカーアームのニードルベアリングも交換します。ベアリングは寿命のある消耗品なので、相応の使用時間が経過していれば異常が無くても交換します。異常が認められるまでが寿命ですから。

バルブスプリングとリテーナーはセット品なので一緒に交換です。スプリング折れのトラブルは頻度としては低いですが、使用目的(レース)などを考えての判断です。

バルブシートの修正や摺り合わせ、ガイドのチェックなどを済ませてヘッドの下準備完了です。

ロッカーアーム本体は再使用、ベアリング交換で準備完了。

ピストンリング等の消耗品も交換し、腰上のメンテナンスが終了しました。

エンジンの次は足回りのメンテナンスです。

この車両はWPのサスペンションが装着されていますが、内部の細かな消耗品などはメーカーからすべて供給されています。

自作の冶具を使用してフリーピストンの正確な位置決めをします。

スイングアームやリンク周りのベアリング、ステアリングステム、フロントフォーク等、可動部は全てメンテナンスします。ついでにスポークの張替えと消耗しているブレーキディスクも交換です。

パーツの供給があるうちにメインハーネスも交換します。しかし、ラリーレース用の車両なので配線が各部でモデファイされており、オリジナルを加工しながらの交換なので手間がかかります。

フューエルタンクを社外に交換するところで部品製作が必要になりました。

説明書では使えるはずのSTDコックがタンクと合わず、メーカーにメールで問い合わせても解決しなかったので、ホンダ車のコックを流用する為にアダプタを作って・・・

そのまま使うとタンク形状が異なる為にリザーブ切り替えからガス欠までの残量が少なくなりすぎるので、ガソリン取り入れ口のパイプを延長してリザーブ量を確保しました。

各部を暖めて動作等の確認作業の為、相模川のモトクロスコースへ持ち込んで試乗テストしました。

外装類も交換し、レストア終了です。

R100RS サイドスタンド修理

R100RS

バイクも長年乗り込むといろいろなところが消耗してきますが、地味に困るのがサイドスタンド可動部の摩耗です。

R100RS

スタンド側が減ったり、ブラケット側が減ったり、スプリングやフックが減ったりと、相当な荷重がかかる場所ながら単純な構造なのでついつい消耗が見逃されている事が多いです。消耗が進むにつれ、スタンドをかけた状態で車体が寝てくるので、ますます多くの荷重を受けるという悪循環になります。

R100RS

スタンドを外してみると、車体側のブラケットも摩耗が進んでいました。スタンド側の摩耗と合わせると、かなりのガタが出ている状態でした。

R100RS

こんな状態ではスタンドを新品に交換しても思ったほどガタが改善しないものですが、この車両はメーカーから補修用のスタンドキットが供給されています。BMWとしては設計の弱点の見直しかもしれませんが、気に入ったバイクを長く乗りたいユーザーにとってはうれしい対応です。

R100RS

このセットは「ボルトオン」ではなく「ウエルドオン」となっていて、減ってしまった車体のブラケットへ金属のブッシュを溶接して部分的に作り替えて使います。
組み合わせる専用のサイドスタンドも根本の剛性が高そうです。

日本で「ボルトオン」と言えば、部品を取り付けるにあたって「何の追加工も特殊工具も必要とせず(必要なら同梱されていたり)誰でも簡単に取り付けられる部品」という暗黙の了解がありますが、海外製のボルトオンは「取り付け方法がボルトで」という程度の意味しかなく、金属を削ったり曲げたり叩いたりの追加工が必要になるかも・・・という暗黙の了解があります。
ウエルドオンのような荒療治は日本のバイク文化的にNGかもしれませんが、「機械は壊れて直すのがあたりまえ」だった大昔からのバイク文化圏では普通の事なのかもしれません。

R100RS

溶接の方法なども事細かに説明されていません。メーカーの研修もあるのかもしれないですが、個々の車体で消耗の仕方もまちまちなので、現物合わせで位置や角度を調整しながら溶接します。

R100RS

WELDED-ONの状態です。錆止めの塗料を塗りました。

R100RS

サイドスタンド使用時の角度を確認しながら位置決めしたので、国産車のような安定?した使用感です。今ではあまり見られなくなったグリスニップルがせっかく付いているので、これを生かせるような小細工もしておきました。

ウインカーリレーとか

ウインカーリレー

ウインカーリレーと言えば長らくこんなスタイルでした。
独特な形をしているので、ウインカーが点滅しないなどの
修理の際は見つけ易く、交換し易いパーツでした。
値段も安く、700円ぐらいで買えた覚えがあります。

ウインカーリレー

80年代中頃からはこんな感じに変わって行きましたね。
ウインカーの他にもいろいろなリレーが搭載されはじめましたが、
皆同じような形なので、外見だけで簡単に見分ける事は出来なくなりました。

BMW ウインカー

これは80年代のBMWのKシリーズのウインカートラブル修理の際の写真です。

BMW ウインカー

緑色の箱を引っ張り出すと車体に対しての大きさがわかると思います。
ウインカーリレーとしてはかなり大きいです。ちょっと複雑なユニットです。

BMW ウインカー

BMW ウインカー

この頃は樹脂で固めていないので中身がそのまま出てきます。
まるで古いトランジスタラジオの基盤みたいです。

BMW ウインカー

BMW ウインカー

基盤の裏側です。赤丸で囲ってある部分の半田で固定してある「足」の周りが
汚れているように見えます。
この「足」は半田が十分に付かずに中途半端に固定されていたようで、振動で
外れてプライマーである「ヤニ」が削れて出てきた感じになっています。
目視で原因が判明したので、比較的簡単に修理が出来ました。

IMG_2484

こちらは2000年代後半のドカティ400モンスターのメーターです。
走行中にエンジン不動となりレッカーで入庫された車両です。
キーをオンにするとインジケーター点灯せず、セルモーター回らず、
ウインカーも点滅せず、イモビのランプのみ点滅している状態でした。

IMG_2492

エンジンがかからない原因はいろいろありますが、イモビライザーという
盗難防止装置が付いている車両では、これの故障が原因になっている事が
あります。エンジンを掛けさせまいとするシステムなので当然ですね。

IMG_2493

イモビライザーはシステムとしてイグニッションスイッチの周りにアンテナが
ありますが、そのアンテナとECUを仲介する役目をメーターが担っています。
現在の車両は、メーターがメーターの機能に留まらず、幾つかの機能を集約
した電子デバイスのようになっています。

そして先ほどから話題にしているウインカーリレーも実はこの中にあります。
小さいリレーが入っていると言うよりも、マイコンがリレーの動作をするような
プログラムがメモリーに格納されているという方が適切でしょうか?
つまり、メーター内のコンピューターが正常動作しないと、エンジンも
掛からなければ、ウインカーも点滅しないのです。

IMG_2510

これの場合は苦戦しましたが、何とか正常動作させる事ができました。
メーターアッセンブリーはかなり高額なので、気軽に交換しましょう
とは行きません。
イモビの認証システムの関係で、中古メーターにも簡単に交換する事が
出来ないので、電子化が進むこれからのバイクは仮に些細なウインカーの
トラブルでも、車両自体の乗り換えを考える時代になるかもしれませんね。

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