FCRのジェットニードルです。
よく見ると、中ほどに2つのスジがあるのがわかると思います。
写真左側にあるスジは加工の段差で、セッティングには影響しない
部分にあるものです。
一方の右側には本来このようなスジはありません。
右側のスジを拡大した写真です。
段付き摩耗した状態が良くわかると思います。
この部分はスロットル全閉時にニードルジェットに収まっている
部分とのちょうど境目にあたるところです。
恐らく、ニードルはグルグル回りながら激しく暴れていたのでしょう。
わりときれいに円筒状に細くなっています。
この程度の段付きが出来ると当然セッティングに影響が出ます。
このニードルが付いていた車両は標高が高い所でエンジンの不調が
現れたという訴えで、点検修理中にこの摩耗を確認しました。
こちらは純正キャブによく使われている負圧式キャブのニードルです。
やはり段付き摩耗が出来ていますが、こちらは片側のみです。
写真右側はマニホールド側、エンジンに吸われる側です。
純正キャブレターのニードル固定方法は、あまり針がカチャカチャ
動かないようにされているものが多く、恐らく新車から動かされて
いなかったのでしょう。
当然この車両も限られた範囲でエンジンの不調を起こしていましたが、
試乗してすぐにニードルの状態が解るような特徴的な不調でした。
面白いことに、このような段付き摩耗の起こり易さと車両の
タイプや乗り方にはある程度の関係があるようです。
つまり、ニードルを万遍なく使う小排気量の車種や、大型車でも
高回転型エンジンのバイクはスロットル操作や低回転の流速の
少なさなどが影響するのか、あまり酷い段付きにはならず、
比較的トルクのある大型車に多い(もちろん例外もありますが)
ような気がします。スロットルの開度が少なくても十分に
走ってしまうような車種や乗り方ですね。
何れにしても上の例ほど酷くないにしても、走行距離に応じて
減って行くパーツなので、プラグの焼け具合によっては
このあたりを疑う必要があります。
また、ニードルジェットも穴が拡大する方向で摩耗して行きます。
場合によっては、ニードルよりもニードルジェットの方が減っている
という事があるので、常にセットでの交換が必要なパーツです。