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トピックス

SCREAMIN’ EAGLE 4

スクリーミンイーグル

これは今回のピストンに組み合わせるシリンダーです。
スクリーミンイーグル製ではなくS&S社製です。

今回のモディファイではボアもストロークも変わりません。
なので、シリンダーを変更しなくても問題は無いのですが、
過去に自分自身が真夏のレースコースでシリンダー焼き付き→
ボーリング→再焼き付きといった苦い経験をしているので、
スポーツスター系エンジンのパワーアップモデファイには
十分に耐久性のあるこのシリンダーを組み合わせています。

S&S シリンダー

具体的にどういった所が耐久性向上のポイントになっているかと
いうと。。。。

アルミのシリンダーブロックと鋳鉄によるスリーブという構成は
STDと同じですが、これらの結合方法が違います。
STDが圧入方式なのに対して、こちらは鋳込み方式です。
シリンダーブロックの鋳造時に鋳鉄スリーブも一緒に嵌めてしまいます。
後から機械加工した穴とスリーブを圧入する方式に比べると
コストはかかりますが、耐熱変形性が上がります。

しかしこれでもお互いに溶け合うわけではないので、矢印の部分に
あるギアのような凸凹で、アルミの鋳物との接触面積を多くし、よ
りしっかりと結合させる為の工夫がされています。

S&S シリンダー

裏側からも違いが判ります。
黄色い矢印で示した範囲がスリーブの厚みです。
これはSTDと同じ寸法です。クランクケースの穴とはギリギリ
まで拡大されているのでこれ以上厚くすることが出来ません。
メーカーがいっぱいいっぱいまでボアアップしてしまっている感じですね。
しかし、赤の矢印で示した部分は厚みが違います。
シリンダーベースから上はクランクケースの制約が無いので、
スタッドボルトとの兼ね合いを見ながら十分に厚みを持たせています。
そして、外側のアルミブロックの厚みも増やされていて、フィンの
長さも十分取られています。

こんな見えない所にここまで作り込まれているので、見た目は
同じようでも、手に持つとズッシリときます。
これらの性能自体はパワーアップには関係ない地味な部分ですが、
ハードな使い方をした時にその真価を発揮します。

SCREAMIN’ EAGLE 3

ピストン

左側のSTDピストンと比べるとヘッドの形状がいかにもハイコンプピストン
っぽい感じです。
写真では判りずらいですが、バルブの逃げ加工(リセス)もビッグ
バルブ対応で一回り大きいです。

ピストン

横から見るとピストンスカートが短さが判ります。
STDピストンは鋳造製法のもので、SEのピストンは
鍛造製法です。
この製法の違いから、ピストンとシリンダーのクリアランスが異なり、
SEの方が指定クリアランスが若干広くなります。
その事と、このピストンスカートの短さとが相まって、
STDではほぼ聞こえない”ピストンスラップ音”が耳に
つくようになります。
あまり心地よい種類の音ではなく、精神衛生上は
ネガティブなファクターですが、ハーレーに限らず、
チューニングエンジンにはつきものの、性能を得る
為の税金のようなものです。
逆に言えばSTDピストン周りの静音性は、安心感や
信頼性につながる重要なファクターですね。
この辺はメーカーもなかなか両立が難しい部分でしょう。

SCREAMIN’ EAGLE 2

ピストン

仕上げが大変奇麗なスポーツスター1200用のピストンです。
製法は鍛造(forged)です。
ハイコンプレッション仕様のピストンですが、普通とは違った
ちょっと独特な形のピストンヘッドです。
これは組み合わさるシリンダーヘッドを考慮されたものです。
さらにこの部分は機械加工後に表面処理も施され、手の込んだ
作りになっています。

しかし、パフォーマンスピストンと言えどもボアは変わりません。
排気量はそのままです。
1200ccのスポーツスターはメーカー製ボアアップマシンの
ようなものなので、STDでもボアは限界に近く、余裕がありません。

そういった理由で1200ccのシリンダースリーブはけっこう薄いので、
熱歪が起こってしまっている物を良く見ます。
ピストン、リングとのアタリが不均一になって、偏摩耗して
いる状態を肉眼で確認出来ます。
これがブローバイガスの増加に一役買ってしまい、エアクリーナー
周りがオイルでベタベタになる原因の一つになっています。
一方で883ccのスリーブは外径が同じで内径が小さく、
必要以上に肉厚なスリーブになっていますが、こちらが
熱歪で編摩耗しているものは少ないです。

ピストン

ピストン裏側には誇らしげにSCREAMIN’ EAGLEのエッチングがあります。
オイルの逃がし穴回りのパリも奇麗に機械加工で面取りされています。
先ほどのピストントップの形状と違って裏側はわりとフラットです。
昨今の鍛造ピストンはこの裏側の形状も表に倣って肉厚を平均化し
重量の軽量化を狙ったものがありますが、このピストンの場合は
ビックバルブを装着したシリンダーヘッドが組み合わされる上、
様々なタイプのカムシャフトが組み合わされる可能性を見込んであり、
バルブリセスの切削加工にも対応出来るようにあえて肉厚に
なっています。

パッと見でワイセコピストンに似てますね。

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