フォルセライタリア(forcelle italia)製フォークの修理依頼です。
昔?は高性能なフロントフォークで、マルゾッキなど共に、
イタリア車の大型ロードモデル用として使われていました。
このメーカーは時々セリアーニ(ceriani)というフォークメーカー名
が併記されている事があります。
セリアーニ(チェリアーニ)と言えばテレスコピックフォークの
代名詞として有名です。事実昔はテレスコピックフォークを
「セリアーニタイプ」と呼ぶ事が多々ありました。
数々のレースシーンなどでも活躍した高性能サスペンションとして、
また、バイクの懸架装置の変遷などには必ず登場し、ショーワやカヤバ、
オーリンズなどよりもその名を歴史に深く刻みこんでいるメーカーです。
フォルセライタリアはその流れを汲んでいるメーカーで、
やはり高性能、高品質がウリだったので、現在でも人気があります。
見た目もカッコイイ上にスペシャル感もあり、性能も良いとあれば
装着したくなる人も多いのでしょう。
ものの本によれば、セリアーニという会社は、当時、MV Agustaの社
員だったArturo Cerianiが1964年ににサスペンション回りのパーツ
メーカーとして独立し、その後息子のEnrico Ceriani(こちらの方
が馴染みがありますね)が引き継ぎ、世界的なサスペンションメー
カーとなっていったようですが、1978年にはその歴史を閉じてしまいます。
その3年後の1981年、フォルセライタリアがEnricoを迎え入れ、
彼のデザインでのフォーク作りを続けました。
しかし、フォルセラというメーカーも90年代半ばに倒産し、
同じイタリアのパーツメーカーのパイオリ(pioli)という会社が
それを買収。現在はセリアーニというブランド名を使って製品を一
部作っているそうです。
とまあ、このへんのゴタゴタはさておき、高性能フォークとしての
フォルセラは、今の感覚で見ると少々デリケートで、キチンと性能
を出すにはそれなりの扱いが必要となります。
つづく
エンジントラブルの原因はコンロッドのビッグエンドベアリング
まわりでした。
ベアリングローラーが無残にバラバラになっています。
ローラーが直接当たるクランクピンのダメージもかなりあります。
これらから出た金属粉がメタリックなオイルの原因でした。
通常の使用ではこのような状態になる事はまずありません。
普通に乗ってここまでなるには、腰上のオーバーホールを何回も
重ねたり、車体回りの修理にも程々にお金をかけた後でしょう。
もちろん、オイル管理などはキチンとされていての話です。
大抵はその前に飽きてしまうか、ちょこちょこと小さなトラブルが
起き始めるとかで乗るのをやめてしまったりで放置され、
エンジンは大丈夫でも最後は商品価値が無くなって廃車というパタ
ーンが殆どでしょう。
このエンジンは大半がサーキットで使用されていて、
何回もの耐久レースや練習走行に使われてきたものです。
最後はレース中に寿命が来てしまいました。
話は前に戻って、小さいエキゾーストバルブのピストンへの当たりが
より大径なインテークバルブより大きい原因について。
両方のバルブ、シリンダーヘッドとピストンが衝突した原因は
他でもなく、コンロッド大端部のローラー損傷により大きく
なってしまったクリアランスによるものです。
このクリアランスの分、ピストンが上方へ行き過ぎて、
バルブやヘッドとぶつかってしまうのです。
クランクシャフトが回って圧縮行程でピストンを
押し上げる場合は、圧縮抵抗で下がり気味になり、
排気行程では上死点付近で慣性によりピストンが
上がり気味になります。
その時、上がりすぎたピストンに最初に当たってしまう
のがエキゾーストバルブなのです。
シリンダーまで外したら、ピストンの側面も傷だらけです。
これはピストンとシリンダー間のオイルクリアランスに
オイルと混ざったメタルパウダーが入り込んだ為です。
クラッチ側のエンジンカバーを外したところです。
かなり「濃い」メタリックオイルが溜まっています。
これではピストンなどはひとたまりもありません。
オイルポンプを分解したところです。
こちらも内部が傷だらけになってしまっています。
このようにあらゆるオイルクリアランスの部分はダメージを
受けてしまっています。
特にこのエンジンは、オイルの汚れをろ過するためのオイルフィルター
が装備されていません。
つづく
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