電気系トラブルのなかでも比較的多いのが大電流が流れる発電系ですね。
しかも一見なんの変哲も無いコネクタが原因と言うことも良くあります。
写真はヤマハビラーゴ250のレギュレーターのコネクタです。
バッテリー上がりの修理での点検時、コネクタを裏返したら
こんな感じになってました。
この辺のコネクタ類は、トラブルでもない限りは抜き差しせずに
放置されている部分です。
長い年月(保管状態にもよりますが)で内部の端子が腐食してきて、
酸化皮膜がじわじわと金属の接触面積を奪い、極小になった接点
部が電気抵抗により発熱し始めるという経過を辿ります。
写真のコネクタは、解けた樹脂が端子の間に入り込んで
完全に導通を遮断してしまいました。
状況によってはビニールが発火する可能性もあります。
旧車のレストアとまで行かなくても、状態によっては
電気系統のメンテナンスが出先でのトラブルの防止に繋がります。
こちらはドカティ900SSのボディアースケーブルです。
スターター系統の弱りを点検している時に見つけた物です。
恐らく新車時からこうなっていたのでしょう(笑)
裏側がこうです。
新車時にはビニールの被膜を突き破った部分が接触していたのでしょう。
これもやはり発熱により溶け始めています。
ボディアースはスターター系統の大電流が流れるのでしっかりと
接触している事が重要です。
が、こちらもなかなか外す機会が無い為、腐食や緩みなどで
接触状態が悪くなりがちな部分です。
純正のアースケーブルでしっかりと接地されていれば、
必要十分なケーブル断面積が確保されている筈なので、
市販のアーシングなどは必要ありません。
普通の(公道用の)バイクに比べるとクランクやミッション回りの
消耗が激しいので入念に点検します。
組み立て式のクランクシャフトなので芯出しが必要です。
もちろん、クランクケースのベアリングも新品に入れ替えます。
クランクベアリングのハウジングには鉄のスリーブが鋳込まれていますが、
スリーブとベアリングの圧入代が減っている場合があるので、
ポンチでカシメたりなどが必要な場合もあります。
ギヤの一枚一枚が薄いのが特徴ですね。
レース用なので軽量コンパクトが優先された設計です。
そのかわりとしてギアの歯面に高い圧力が掛かるので、
繰り返し応力によって表面の硬化層が比較的痛み易いです。
進行性ピッチ(ピッチング)が起こりやすいと言えます。
どんなに良いオイルを使っていても力の伝達がある限りは
無くす事はできないですね。
このエンジンはオーバーホール時にギアを交換しない事が無いくらいです。
右方に大きなバランサーが見えます。
これのお陰でかなり振動が少ないですが、エンジンがリジッドマウント
な事もあって、存在感のある単気筒の鼓動があります。
若干肉厚のフライホイールです。
ここの重量でエンジンフィーリングがかなり変わります。
このエンジンはモディファイされていろいろなバイクに
使われていますが、
このXRのピックアップは絶妙ですね。
このエンジンで超軽量なロードスポーツバイクを造ったら面白そうです。
ピックアップが良いのでハイサイドが怖そうですが(笑)
これはエキゾースト側のバルブガイドです。
熱的にはかなり厳しい状況にさらされています。
相当に高温になるとみえて、オイルスラッジがこびり付いています。
この温度なのでゴム製のバルブステムシールも痛みやすいです。
また、このバルブガイドはシリンダーヘッドとの間にオーリングが
入れられていて、オイルリークを防止する構造ですが、
オーバーホール時には殆どの場合、オーリングは四角いプラスチックと
化しています。
そうなると、オイルリーク防止の効果は無いも同然の状態ですね。
なので、当店では元通りにするだけで無く、追加のオイルリーク
対策をとっています。
こちらはインテーク側。
かなり温度に差があるようで変色なども殆どありません。
ポートのカーボン落としはオーバーホール時にしか出来ない
大切な作業です。
この時にポート内部の段付きなどを修正しておくとより効果的です。
積極的に手を入れる場合はポーティング加工ですね。
ポートの清掃作業後にバルブシートの修正を行います。
これはサービスマニュアルに出ているシート面の「荒れ」の
修正のほかにもう一つ大事な役割があります。
それはバルブシートの「熱歪」を修正する事です。
修正の効果としては、こちらの方が大きいぐらいです。
空冷エンジン、油冷エンジンの場合はこの修正に時間が掛かる
場合は多いです。
つづく・・・
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