これが上記のモトタイヤメーターで取り出されたデータをグラフ化したものです。
サンプルのタイヤは 120/70-17サイズの比較的良く使われているフロントタイヤです。
上のグラフは縦軸にラテラルフォース、横軸にスリップアングルを、また、
下のグラフは縦軸は同じで、横軸にキャンバーアングルで表したものです。
ラテラルフォースとはタイヤの曲がろうとする力と読み替えていいかもしれません。
また、スリップアングルはタイヤの向きと進行方向とのズレ、
キャンバーアングルはバンク角とそれぞれ読み直しても大丈夫です。
(正確な表現ではありませんが)
タイヤの曲がろうとする力(ラテラルフォース)は
キャンバーアングルとスリップアングルによって生み出される
力の合成力で成り立っていますが、
mototiremeterでは、それぞれを独立した力で取り出せている所が特徴です。
キャンバーアングルが0°の場合に対するスリップアングルの効果に対して、
スリップアングルが0°でのキャンバーアングルの効果は相当大きいのがわかります。
以前、曲がらないバイクのハンドルを、サーキットのペアピンコーナーでコジッってしまって
同じ転倒を繰り返してしまった事がありますが、無闇にハンドルを切っても
(フロントのスリップアングルをつけようとしても)曲がれないという事は
このグラフからもわかります。
これらを見るとバイクのコーナリングではバンク角が重要に思えてきますが、
ステアリングを介して2本のタイヤを抱えているバイクではそう簡単ではありません
いずれその話もしてみたいと思います。
これは「MDRG」で解説しているコーナリング時のバイクのタイヤモデルです。
灰色の部分が無負荷の状態で、赤い部分がコーナリング時の変形を示しています。
実際にタイヤに掛かる力を横方向とラジアル方向の成分に分解して、
それぞれの力の掛かり具合をスプリングの縮みで表現しています。
このスプリングの強さはタイヤカーカスの硬さと空気圧との合計です。
黄色の上向きの矢印は負荷(車重)を、横向きはタイヤの曲がろうとする力、
専門用語で、横力(サイド(ラテラル)フォース)を表しています。
白い小さな○(actual contact point)はタイヤと道路の接点を示し、
この位置そのものがコーナリングの重要な要素になっています。
白○の位置は、バンク角とタイヤのプロファイルと変形量で決まります。
因みにタイヤの空気圧が減った時や、タイヤが磨耗した時などは、
ハンドリングに違和感を感じる事が多いですが、その原因は、
この白○の位置が変わってしまう事と関係しています。
つづく・・・・・
忙しくてなかなかエントリを書けないですね。
ところで、ちょっと普段の仕事とは違う話題を。
↓さてこの写真の機械は何でしょう?
これは モトタイヤメーター(Mototiremeter)と呼ばれる機械です。
イタリアのパドバ大学(Padova University)のオートバイ力学研究のグループ
(Motorcycle Dynamics Research Group,MDRC)が開発した機械で、、
タイヤの特性などを実測して取り出すための装置です。
これを使って得られたデータはなかなか興味深いものがありますので、
次回はその辺の紹介などをしたいと思います。