オーバーステアのメカニズムは、バイク自身の特性(ジオメトリ)と
タイヤの持つ特性を合わせた非常に複雑なものなので、乗っている感覚からでは
なかなか理解しにくいものです。
けれどもわりと最近発売されたダンロップ クオリファイアー2のタイヤ説明には
キャンバースラストチューニングなる言葉が謳われていて、
なにやらハンドルをこじる事と関係ありそうな事が書かれています。
以前のエントリでも触れたように、タイヤの曲がる力、横力(ラテラルフォース)は、
キャンバーアングルに因るキャンバーフォース(キャンバースラスト)と
サイドスリップによるコーナリングフォースを合わせた力になりますが、
上の説明のように前後のタイヤのキャンバーフォースの差が、ハンドリングに
大きな影響を与えています。
状況が定常円旋回として、ハンドリングとの関係をもう少し詳しく見るために、
MDRGのVittore Cossalterさんの著書、Motorcycle Dynamicsを参考にします。
旋回状態の前後タイヤのキャンバーフォースの差を打ち消す力として
スリップアングル(コーナリングフォース)がついています。
これで前後のタイヤのラテラルフォースが同じになるよう
調整しているというわけです。(調整させられているのはライダーです(笑)
前後タイヤのキャンバーフォースが同じでニュートラルな場合と比べて、
リヤタイヤ側のキャンバーフォースが少ないと、その分大きなスリップアングルが付き、
バイクはより小さい半径で曲がろうと(小さい半径に釣り合わせようとする)します。
それをニュートラル時と同じコーナー(半径)に合わせる為には
フロント側のスリップアングルを減らす必要が出てくるわけです。
つまり、手でハンドルを押し戻す必要が出てくるのです。
以上が大雑把なオーバーステアのメカニズムですが、
弱いオーバーステアはわりとどんなバイクでも持っていますが、
それが強すぎるとハンドルをこじらなければならなくなるので、
出来ればニュートラルに近いほうがライダーは楽が出来ます。
「バイクは弱オーバーが良い」と言えるんでしょうか?
さて、ではタイヤをどう選べばいいのか?
これは試してみるしかないでしょうね(笑)
ハンドリングを決める要因はタイヤ以外の車体側にもあり、速度にも依存し、また
ライダーの好みにも左右されるので、一般的な答えっていうのは無いと思います。
CBの場合は私の勘で銘柄とサイズを変更し、ジオメトリにも多少変更を加えています。
つづく・・・・