仕上げが大変奇麗なスポーツスター1200用のピストンです。
製法は鍛造(forged)です。
ハイコンプレッション仕様のピストンですが、普通とは違った
ちょっと独特な形のピストンヘッドです。
これは組み合わさるシリンダーヘッドを考慮されたものです。
さらにこの部分は機械加工後に表面処理も施され、手の込んだ
作りになっています。
しかし、パフォーマンスピストンと言えどもボアは変わりません。
排気量はそのままです。
1200ccのスポーツスターはメーカー製ボアアップマシンの
ようなものなので、STDでもボアは限界に近く、余裕がありません。
そういった理由で1200ccのシリンダースリーブはけっこう薄いので、
熱歪が起こってしまっている物を良く見ます。
ピストン、リングとのアタリが不均一になって、偏摩耗して
いる状態を肉眼で確認出来ます。
これがブローバイガスの増加に一役買ってしまい、エアクリーナー
周りがオイルでベタベタになる原因の一つになっています。
一方で883ccのスリーブは外径が同じで内径が小さく、
必要以上に肉厚なスリーブになっていますが、こちらが
熱歪で編摩耗しているものは少ないです。
ピストン裏側には誇らしげにSCREAMIN’ EAGLEのエッチングがあります。
オイルの逃がし穴回りのパリも奇麗に機械加工で面取りされています。
先ほどのピストントップの形状と違って裏側はわりとフラットです。
昨今の鍛造ピストンはこの裏側の形状も表に倣って肉厚を平均化し
重量の軽量化を狙ったものがありますが、このピストンの場合は
ビックバルブを装着したシリンダーヘッドが組み合わされる上、
様々なタイプのカムシャフトが組み合わされる可能性を見込んであり、
バルブリセスの切削加工にも対応出来るようにあえて肉厚に
なっています。
パッと見でワイセコピストンに似てますね。